出産③
同日の4月28日、午後2時頃に実母到着。
母の来院は夕方でも良いかなーと夫と話し、そう母に連絡してもらったところ、「今病院の駐車場についたんだけど…」と返信。
それなら一旦LDRまで来てもらうかー、と来てもらう。
点滴は漏れていたため再挿入。朝の4回刺しはなんだったんだ。
そして、ここからがきつかった。
陣痛です!きっとこれは陣痛です!
今までお腹の張りをアクティブチェアでなんとか堪えていたものの、14時過ぎから堪えられきらないような痛みになる。
今まで屈んでいたのに、痛みで体が後ろにそる。
腰!腰が痛い!
お腹も痛いけど腰も痛い。どうすれば良いのか分からない痛み。
主任(助産師さん)も来てくれて、腰をさすってくれる。
さすが主任さん、ちょっと楽!
夫や母がさすったり押したりしてくれるけど、ないよりはマシ、レベル。
違う、そこじゃない!もうちょい下!
母が夫に「ごめんね」と気遣っているが、夫より私を気遣って!痛いんだって!
夫が腰をぐーっと押しながら、「俺の指が痛い。感覚がない」と言っている。知らん!
私は私で、母や夫に言葉がきつくならないようにするのが精いっぱい。事前に助産師さんたちに「暴言ははいていい」と言われてるけど、まぁ、分かるうちはやめときたい。
アクティブチェアに頭のところにラベンダーのハンカチを置き、その上にタオルを置く。
よだれが出てもぬぐう余裕はない。
ラベンダーの香りで一瞬冷静になる。そうだ、力は抜かなきゃだった。
ふーーーー、ふーーー、と息を吐きながら体がそる。
そらないで丸まるように、とネットでもたまひよでも見てたけど、できない。
後ろにはソファに座った夫がいるから、どうしよう、と思っていると、母から「○○君(夫)に寄りかかって良いから!」と声が聞こえる。申し訳ないと思いながら寄りかかる。
主任から「一度子宮口見とこうか」と言われ分娩台にあがる。が、仰向けが痛い痛い。
「開いてきてるよ!今6cmぐらい。柔らかくなってきてるし、赤ちゃんもおりてきた!」と聞こえる。
もう、内診が痛い。内診されてると陣痛(もう多分陣痛だと思ってるからお腹の張りではなく陣痛と呼ぶ)がきている時のような痛みがはしる。体がどうすれば良いのか分からないような、どうしようもない痛さ。
やめて、とも言えず、「いたい、いたい、いたい」とやめてほしいアピールをする。
しかし手を抜かない主任。なんでじゃ。
「今触ってるのは陣痛が起こる部分だから、その時と同じような痛みがあるはず。さっきはここからもっと手をつっこまないと届かなかったけど、今は届くから、短くなってきてるよ。破水はまだしてないね」
主任、それ手を抜いてからの説明じゃダメですか。
確かにイメージがつくように説明してほしいとお願いしてたけど、今じゃない。
痛みの感覚は2-3分毎。薬使ってるからほんと陣痛感覚が短い。休む暇がなく、「またすぐ陣痛がくるのか」とイヤになってくる。
母が「進んでるって。良かったねー」と言うが、痛くてそれどころじゃない。
分娩台から逃げ出すようにアクティブチェアへ。
腰押して、そこじゃない、陣痛きてる、とも何とも言い難く、「いたい、いたい」がヘルプの言葉となっていました。
もしかしたらそこまで家族に気を遣わなくても良かったのかもしれませんが、この気を遣った状態ですら、後から「こうやって言ってた」とネガティブなことを言われたので、仕方ない。本当はもっと言いたいことあったけど、言ってなかったのよ、これでも。
一方主任は、子どもが生まれた時の準備をし始める。赤ちゃんが寝る台を温め、色々な道具を滅菌袋から出す。
「今日生まれるからね~♪」
とのこと。
ん?本当に今日生まれるの?
こんなに痛いのに、子どもが生まれる実感はやっぱりまだない。
念のためトイレに行っておく。
トイレ中、トイレから出る際に陣痛がきて、一人で「ぐぬおぉぉぉお」と苦しみしゃがみ込む。
子宮口全開大
16時、「そろそろ子宮口見てみようか」と言われても、先ほどのことがあり、仰向けは痛いので心の中では拒否。イヤです。あがりたくない。痛い。
痛みの場所はまだ腰。おしりの方が痛くなるといよいよ子どもがさがってきてる印と言われるが、主任に短く「まだ腰」とだけ返事。
母から「みてもらったら」と言われ、イヤだけどしぶしぶ分娩台へ。
主任が「お?ん?」と言っている。何ぜよ。
「進んでるよ、子宮口全開大になってるよ!まだ赤ちゃんがおりてきてないけど。破水もまだだね」
私は陣痛がきている時に何度か水が出てくるような感覚があったけど、破水ではなく、おしるしのようなものなんだそうだ。
子宮口全開大って、もういきんでよくて、子どもが出てくるもんだと思ってたけど、意外とまだ赤ちゃん上なんだ…。
主任に「おしり痛くない?」と言われても頑なに「腰」と返す私。
しかし、分娩台を降りようか、としていたところ、急激におしりが痛くなる。
腰の時の痛みよりも、痛みが直撃してくる!
「いたい!いたい!今おしり!いたい!」
どうやら赤ちゃんがおりてきたが、まだ恥骨に頭がひっかかっているとのこと。
腰の痛みは赤ちゃんが骨盤にぶつかっていて痛いらしい。
すんなりおりてくればいいのに!
分娩台の上でのたうちまわる。
ふー、ふー、という呼吸も、悲鳴のように「ひぃぃぃぃ」と声がもれる。
もう分娩台からおりるのも無理。
主任から、旦那に捕まるようにして膝立ちになることを提案されるが拒否。
痛いので立ちたくありません。動きたくもありません。
「いきんでいいよ。いきんでた方が楽でしょ。赤ちゃんおろすように力いれていいよ」
と言われ、陣痛に合わせて力をいれる。
確かに少し楽。
隣のLDRに家族が到着したのか、男の人の声や、「部屋こっちだってー」という声が聞こえる。
なんとなく、私のこの苦しそうな声が隣の家族に聞こえて、付添を不安にさせてしまわないか、ということが気になる。後から聞くと、隣の部屋の方の方が叫んでいたらしい。
四つんばいになるのを進められ、四つんばいの方が赤ちゃんを生む時は自然な体勢と聞いたことがあったので、少しでも楽になるかとやってみる。
しいているタオルをつかみ、顔も髪も汗がつたう。
母や夫に「水飲む?」と聞かれても、痛いから「いらない」と答える。
飲んでた方が良いよ、と夫にペットボトルにストローをさして口元にもってきてもらい、お茶を飲む。
夫から頭をなでられるが、もう痛いしどうしたらいいか分からなくて、でも「やめて」というのも傷つけそうな気がして、夫の手を振り払う。
今考えると、無言で振り払う方が傷つくか…?
でも、言葉を出すと、語気が強くなると思い、色々と飲み込んで「いたい」ばっかり言っていた。
その頃、突然、「あの、お客さんですよ…」と助産師さんの声。
え?お客さん?夫と実母しか入れないことは両家族に伝えていたけど、お客さん?
一瞬私、夫、母がとまる。
母が見に行くと、夫の祖父母が来ていたとのこと。
夫は「出れないから」と断るが、夫の祖父母のため夫に対応してもらう。
夫のことを気遣って、軽食を持ってきたとのこと。
「すぐ戻るから」と夫が言って出て行ったが、何故かすごく不安になった。
夫がいても多分、何をして良いか分からないだろうし、何かてくれている、という実感があった訳ではない。
でも、夫がいないことがすごく不安になって、早く戻ってきてほしいと思った。
それと同時に、なんで来たの?入れないって言ってたのに、と悲しくなったり頭にきたり。
しかも、こんなに辛い時に。
別にLDRに入ってこられた訳でもないのに、何故か根にもつ出来事でした。
そろそろ生まれるよー。