出産④
突然、私の周りがばたばたと慌ただしくなった。
隣の担当の助産師さんも部屋にきた。
なんだか痛くて痛くて、何が起こってるのか分からないけど、応援を呼ばれてることが分かった。
心拍が落ちた、と聞こえて、私?赤ちゃん?と思った。
念のためで私には酸素マスクを装着される。
ふーと息をはくのも辛くなってきており、酸素だやったーと思う。ぼんやりと、酸素何リットルなんだろう、5Lかな、それ以下だったらカニューラがいいな。でも口で呼吸してるしな、と考える。
痛くて分娩台に頭をぐりぐりして、マスクが少しずれて、夫が何度もマスクをきちんとつけようとしていた。マスクがちょっとぐらいずれてたって大丈夫だよ、とも声にならない。
赤ちゃん大丈夫?帝王切開なる?もういっそ帝王切開でも良いけど…と思っていたが、分娩監視装置からははる君の速い心拍が聞こえてきていた。大丈夫みたいだ。
私自身のSPO2は下がっていなかったため、しばらくするとマスクを外される。
つけてても良かったのに…と思う。
17時になると勤務交代のため、夜勤の助産師さんがきた。
「もうすぐ生まれるから」と日勤の主任が変わらずに付き添ってくれる。
もう勤務終わるだろうに申し訳ない、と考えていた。
主任と夜勤助産師さんで話をし、まだ分娩の体勢はとっていないことから、一度やってみようという声が聞こえてくる。
…動きたくなーい。
ちなみにそれまでは横向きになっていた。
仰向けになり、足を開き台にのせられ、握りこむレバーが出てくる。
「消毒だけしとくよ。消毒さえしとけば後はいつ生んでも大丈夫だから」と声をかけられ、導尿、消毒される。
導尿はできればしたくないと伝えていたが、「どうする?トイレ行く?」と聞かれても導尿で良いと答える。いやもう、ほんと動けない。何でも良いから、って感じ。
「いきむの上手だね。自分でもそう思わない?」と主任に声をかけられるが、
すみません、ほんとそれどころじゃないです。
18時頃
「赤ちゃんがあと1cmぐらいおりてくれば。もうのぞけば髪が見えるよ。そのぐらいおりてきてるよ。吸引もできるぐらいおりてきてるけど…うーん」
と声をかける主任。
その言葉を聞き勝手に分娩台の足側へ覗きに行く母。(ちょっとあなたいい加減にしなさいよ。)
もう吸引分娩でも何でも良いから出してくれ。
陣痛と共に、力をぐーっといれるが、なんだか違和感があると力むのをやめてしまっていた。
今思うと、そのせいで子どもが出てこなかったのかな、と思う。
子どもが出てくる感覚が分からなくて、違和感があると途中で力むのをやめてたから、残りの1cmが止まっていたのかもしれない。
当直産婦人科医が見に来てくれ、「今度はいきむのではなく、ふーっと息を吐く方法でやってみよう」と声をかけられ、ふーーーっひぅ、ふーーーーっひぅぅぅ、と息を吐ききると自然に力が入る。医師・助産師に、「そうそう、上手だよー」と声をかけられる。
生まれる!
19時前、どうもなかなか進まず。
「自分で生む?吸引で早く出したい?」と聞かれ、「早く、早く」と答える。
吸引分娩で良いです。早く終わりたい!
「頑張ったもんね」と主任に声をかけられ、医師登場。
会陰切開をすること、吸引分娩をすることを主任から説明されるが、何でも良いから早くして状態。
あんなに会陰切開が怖かったのに、もうどうでも良い。
麻酔をしてから会陰切開。切られた感覚はあるけど、陣痛で痛みの閾値は下がってきているのか、そんなに痛くない。
突然ひやっとする。
吸引分娩の器具をいれられ、裂けた感覚がはしる。
いやいや、会陰切開したのに裂けるんかい。ダメじゃない?
と思っていると、「はい、力いれてー」の声。
ネットやたまひよで調べていたように、レバーを握り、足をしっかりつけ、背中側は分娩台に押しつけるように、目は開いて赤ちゃんの方をみて力む。
やっぱり途中で違和感があり、力むのをやめようとすると、「そのままー!」との声で、再度力む。
すると吸引の助けもあり、ずるん、と子どもが出てきた!
はる君誕生
え、なに、一回で出てきた?吸引すごい。
わ、本当に赤ちゃん入ってた。なんか長い。
ってか、泣かない。
と考えていると、一拍おいて泣き始める。
両手を広げてーと言われ、処置用シーツをしかれ、その上に赤ちゃんをのせられる。
重い!重いよー!
私も疲れてるし、重い。
本当に私の子?本当に私お母さん?
と色々と混乱状態。
そして助産師さんに色々と処置をされるはる君。
もう生まれてからもブログでははる君で良いや。
私は胎盤を娩出。ぬるっと出てくる。
出血多量
そして「出血が多いでーす」と言われる私。
ん?
にわかにばたつく人々。
「輸液全開にして!」
「オキシトシン筋注して!」
「中を洗浄するからね、ちょっと気持ち悪いよ、頑張るよー」
んん?
私大丈夫?と体をそって頭側にあるモニターをみる。
あ、大丈夫、まだ大丈夫。
主任から注射するよー、と言われるも、どうぞどうぞ。
中を洗浄されるのがなんか気持ち悪くて痛くて、何で生んだ後もこんなに辛いんだ、と引き続き力をぬくため「ふーっ」と息を吐く。
母や夫からは突然名前を呼ばれる。
なんで力抜こうとしてるのに呼ぶのー、と呼ばれた方をみる。
「大丈夫?」という問いかけに「うん」と短く答えつつ、何で?状態。
ぼーっとして虚脱状態だったらしい。
自分では大丈夫なつもりでいたんだけどな。
その後止血用のガーゼをとったり、会陰切開部を縫ったり。
会陰切開、切る時より縫う時の方が痛い。
麻酔をできない部位もあるから痛い。
あと、意外とそんなに縫うの?と思う。
はる君も体を拭かれて吸引されて、綺麗にされていた。
分娩台の隣にベッドをもってきてくれたので、手をのばすと、私の小指を小さな手でぎゅっと握っていた。
初乳
2時間後、添い寝状態ではる君に初乳。
おっぱいマッサージを頑張っていたからか、にじみでる程度の母乳が出ていた。
助産師さんがはる君の唇に「味見だよ」と少しつける。
寝た状態で初めてのおっぱい。
新生児って力が弱いイメージなのに、しっかりと胸に吸い付いてきてびっくり。
意外と痛いぐらい吸う!
頑張ってるなぁ、と感動する。
夫と交代ではる君を抱っこしたりして、0時頃まで過ごす。
私は出血が多かったため、LDRにそのまま泊まって経過観察。
夫が私の病室に泊まり、はる君は新生児室へ。
朝まで色々と痛くて眠れないし、まだ痛み止めは飲めないし、誰もいないしで寂しい夜でした。
夕飯ではヘッドアップ30度を超えるとくらっときていたので、経過観察で良かったのかも。
ものすごく長く感じましたが、初産にしては早い時間での分娩となりました。
分娩中何度も、もう子どもは生まない!と思うぐらい痛かったですが、はる君に会えて良かった!本当に良かった。
長ーくなりましたが、出産備忘録おしまい。
これからは成長録を書いていければいいなぁ。